私の手帖 from Tottori

ニュース、釣り、キャンプ、将棋、ギター、ビール。

僕のブーツ

今週のお題「愛用しているもの」

毎年春にはリストラ候補として名簿の最前線に上がるものの、かれこれ18年も僕の冬の足を支えてくれているブーツがある。

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大学の卒業旅行に当時の彼女と二人でソウルへ行った。観光には不人気な寒い2月のソウルだ。特にあてもない、いつものデートの延長のような気ままな旅行でガイドブックを頼りに梨泰院の革製品の店へふらりと立ち寄った。

有名ブランドのあからさまな模倣品が所狭しと並ぶ店先に不似合いなブーツがあった。手にとって眺めていると、売り子のお姉さんが現地の言葉で話しかけてくる。理解できずに困った顔を返すと、カタコトの日本語で安くするから買えという。

ブーツを買えるだけの金は無いんだと、身振りを交えて答えると、無愛想に電卓を打って僕に差し出した。当時のレートは覚えてないけど、日本円で3000円程の金額だ。予想外の安さに呆気に取られていると、余程金がないと思われたのか2000円で良いと言い出した。

それから18年の時を経て、その2000円のブーツは未だ僕の靴棚でウインターシーズンのレギュラーをキープしている。

ただ重くて、硬くて、小一時間も履くと足の裏からだるくなって、指先が冷えてるブーツだけれど、お前の事は俺が一番知っているとでも言いたげな、妙なクタビレが新入りのブーツにその座を譲らないのだ。

今冬は雪が多いらしい。そんなニュースを聞いて、ブーツに合わせる分厚い靴下を買おうと考えている。まだまだ長い付き合いになることは間違いないようだ。