僕のコーヒー
アラフォー男子の登竜門といえば、コーヒー。
誰もが一度は通る道であるとか、ないとか。
スタバとかのシアトル発オサレ行きとはちょっと違う。
カリタ・メリタ・ハリオ。そういう系のコーヒーのお話。
僕のコーヒー原体験といえば、小さい頃に祖父が飲んでいたアイスコーヒーだ。酒はほとんど飲まなかった祖父だけど、とにかくコーヒーはよく飲んだ。大好きな競馬中継を見ながら飲むアイスコーヒー。
濃い目に淹れたコーヒーは、氷がぎっしりつまったグラスにパチパチ、カラカラと音を立てながら注がれていく。温度差のせいだろう、突然グラスが割れたこともあった。その一部始終を腰掛けの上に立って横から眺めたものだ。
成人を迎えたばかりの大学生活の折にもコーヒーに興味をもったことがある。スターバックスが銀座に1号店を構えた頃だ。ところが、エスプレッソの味は幼稚な僕には背伸びをしても理解しがたく、下宿近くの喫茶店のマスターがサイフォンで淹れたコーヒーが好みだった。自分でもサイフォン式で淹れてみたくなって、東急ハンズで道具を一式買ってみたものの、豆を買う手間が億劫になっていつの間にか飲まなくなってしまった。あの道具達はどこへ行ったのだろう。
月日は流れて2児の父となったアラフォー男子は、再度コーヒーに興味を抱く。奇しくも鳥取県にスターバックスが初出店となった年だ。休日の外遊びの合間に飲むコーヒーにいたく感動して、ハリオのコーヒーミルを買ったのだ。
僕がガリガリとコーヒー豆を挽いていると、物珍しそうに子どもたちがよってきて僕にもやらせろとミルを取り合う。わいわいと挽いた豆をペーパードリップすると、良い香りが部屋中に広がって、カミさんや母も集まりだす。
大人はブラック。子どもたちはたっぷりのミルクに色が付く程度のコーヒー牛乳。準備ができたら後輩の和菓子屋が作った最中といっしょにのんびりと楽しんだ。
いつかの僕と祖父のことを思い出しながら、僕の第三次コーヒーブームがひっそりと幕を明けたのだ。