趣味の話をすると「ふーん」と言われる。我らB型。
凝り性だよねとか、一風変わってるとか。
世の中そんな温かい言葉で濁してくれる親切な人ばかりだと良いのだけれど、多くの場合は「ふーん」と鼻で笑われる。それがB型(少なくとも僕は)の趣味だ。
趣味の定義を根底から語るほどの教養はないけど、おそらくは「1分1秒をどうやって楽しく過ごそうかと創意工夫する活動の一環」ではないかと思っている。
その「活動の一貫」に対する好き嫌いは人それぞれなんだけど、社会不適合者の僕は大勢で楽しむものや、人様から勧めてもらうのが苦手なので、自分であれこれ探すことになる。そして、探す行為そのものが趣味となりつつあって、広く薄くニワカな多趣味人になる。
無条件で楽しめる趣味だと良いのだけど、僕の場合は前提を求められる趣味が多い。楽器とか、将棋とか、釣りとか、知らずに飛び込むとたしかに「ふーん」なんだけど、少しでもその世界の入口を知ると、楽しさがぐんと倍になるような、そういう趣味だ。その手の趣味はたいてい楽しむ人口が少なくて、ニッチで、楽しく語り合う人もあまりいない。
時々、不用意にホロリと趣味の話をしてしまうことがある。皆が昨日観たテレビ番組とか、先週末に行ったイタリアンの話をしている時に、無意識に趣味の話を投下してしまうと「ふーん」と、もうなんとも言えない気まずい空気があたりを包み込んで、どこかへ逃げ出したい気持ちになることがあるのだ。
先週も、流行りの音楽の話になって、ついついその曲の原曲者は誰々で何年に発売されて、なんてポロリしてしまったものだから、辺りは「ふーん」となってしまった。
けれど「全く僕も学習しないなぁ」と反省したふりをしつつ、こういう趣味嗜好でいられることにどこか感謝するのだ。世の中には与えられるだけじゃ、とうてい辿りつけない楽しいことが溢れているのだから。